久美沙織 エニックス文庫
ルビス伝説も最終巻なわけですが、読んだ感想は、まあよくもいろんな殺し方をしたもんだという感じですね。他人を助ける為の死、理不尽な死、呆気ない死、過ちの清算の為の死、『本望だ』と語る死などなど。なんかトラウマになりそうですね。かつて一度読んどいて言うのもなんですが。
また、パニックに陥った人の群集心理がもろに描かれているもんだから、心が苦しくなる事この上ない。数少ない良心持ちの人の行動が、適度に出てきてくれるから助かってる。悲しいオチがつく事には違いないんですけどね。
最終的にこの物語の中では、婚礼を挙げたルビスとロト(ディアルトの本名)は平和に暮らす事は無く、イデーンの崩壊と共に生まれた『邪悪』を追って地上に降り、ロトは怪物を悪から解放する『勇者』、ルビスは地上の母神となる。以後、長きにわたり善と悪の争いは続く・・・。
ルビスとロトが安らかに眠れるその日の為に、我々はドラクエをやるのだ。などと、どうでも良い事を考えながらゲームをするのはどうでしょう? とか、辛い話で終わったので言ってみる。
・哀れな・・・掟に背を向けし者、なお掟に縛らるる……な p73
すでに混乱しつつある状況になっても未だ、追放された民の処遇について五大家の許可を得ようとするルビスに向け、当主グァモンが言った言葉。
重大な裏切りを働いた負い目があるが故に、余計な時に気を使ってしまう。掟に常に従うように育てられたからなのか、その程度の器しかないからなのか。でもこの時、彼女は全く引く気を見せていなかったから、実は協力を得られれば幸いで、ダメなら強行する気だったのかな?
まあ、普通に考えれば、普段は規則なんて糞食らえと言ってる人間が、いざとなると規則に縛られて動けなくなったりする事はある訳でして、その点何も言わずにやっちゃう人間の方が怖いなあ、と思う訳です。自分としては、後者になりたいけどなれないんだろうなあ。
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